ここでは、誓願寺前辻 について紹介します。

在所:誓願寺門前

【ポイント】

①.交通の要所

 ・東直進は河内街道

 ・東左斜めは、意賀美神社参道となり、官女塚、宮山(低区配水池=旧意賀美神社跡)・東枚方街道・磐船街道へと続く。

 ・北左折では、京街道町家の裏通り。

 ・右折で伊加賀本町の古民家を通って京街道へと続く。

②.この地域は西見附の外側で、且つ交通の要所のため旅籠が集中していた。

  ※ 西見附内の旅籠は、本陣を中心に大名、供侍、公家などが利用のため、庶民は宿場外の安宿を利用。

 ・辻前の三角地域に残された古民家は、二階の窓が高く、手摺も備え旅籠の面影を残す。

 ・最近廃業されたが、平成20年頃まで2軒の旅籠が営業していた。

【関連写真】

 誓願寺前辻2015_02_16 金只   辻に建つ地蔵2016_09_27 金只

 河内街道始点に建つ古民家2016_10_19 金只​   今も残る「玉光旅館」の看板2016_10_19 金只​   

 京阪本線の高架工事
旅籠の改装前2016_01_06 金只
​   京阪本線の高架工事
旅籠の改装直後2017_02_22 金只10%

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【補足説明】

①.この地点は、西見附に隣接した交通の要所であったと考えられます。

 直進すると河内街道、右折すると伊加賀本町の縁を通って旧京街道へと通じ、左に直進すると宮山の意賀美神社を経由して東枚方街道・磐船街道へと通じてます。

 このような交通の要所であることから、顕如上人が枚方地区に布教に訪れた際、辻説法が行われ、道場ができ、誓願寺の建立に至ったものと思えます。

 これらのことを想定されるものとして、寺の門前の「顕如上人旧跡地の碑」と「地蔵」があります。

②.直進方向が河内街道です。

 左角の建物は、大正レトロを感じさせる建物に改装されてますが、同一敷地内の裏側には、総二階・起屋根の古民家が残されてます。枚方宿の入口との立地から見ますと旅籠でも営んでいたものと思われます。(2019年解体)

 河内街道に沿って残されている古民家を見ると、平屋造のものが続き更に進むと、蔵を備えた古民家に遭遇します。

 多分、手間の平屋造は、枚方宿の使用人たちの住居として使われたものかと思えます。又、蔵を備えた大きな屋敷は、本百姓の住居であったと思われます。 

③.左斜め方向は、京阪電車の枚方公園駅西口商店街を通って枚方公園駅に通じています。

 古民家の配置から見ますと、江戸時代、意賀美神社の旧跡である宮山に通じる参道と思えます。

 宮山に明治初期まであった意賀美神社は、延喜式式内社社で古代から存在していたことが知られています。

 この地域には、道路沿いの表は店舗用に改装されてますが、いまでも総二階の起屋根の古民家が数棟残されてます。

 京阪電車の高架工事でこの地帯は再開発地域に指定されていて、平成42年には全てその痕跡を無くすものと考えられます。

④.右方向は、伊加賀本町の集落に通じる道です。

 この道には、今も古民家の面影を残す建物が、京街道の道標の地点まで点在します。

 誓願寺と京街道に挟まれた地区にはごく最近まで廃墟に近い小さな古民家が林立してましたが、今は分譲住宅地に生まれ変わっています。