2015年。住み慣れたはずの室蘭の 知らずにいた宝物を知った。


この写真を見せていただいたとき「えっ?これが室蘭?」と驚き、目が釘付けに・・・
都会に出ることもなくずっと生まれ育った場所で暮らしながら、その存在すら知らずにいた「イタンキトレイル」
いつか行ってみたいと心が躍った。

2015年・夏 有志でトレイルの草刈りを決行。初めて立ったその場所で感動のあまり、心が震えた。

数日後。イタンキからトッカリショまでの道を初めて往復して走り、再びトレイルの素晴らしさに魅了された。

ここからイタンキの朝日を見て欲しい」と、高山 幸子さんが東京からのお客様を早朝のトレイルに案内してくださり、そのあまりの美しさに感動し、早起きしてトレイルからの朝日を見に。

晩秋。トレイルの一番開けた部分が整地され始めた。太陽光パネルの団地ができるらしいと・・・不安でたまらなくなる。
「トレイルはどうなってしまうのだろう・・・」

2016年・春。Yasushi Hondaさんがいち早くトレイルを訪れ、「大丈夫!トレイルは死んでいないよ!」と知らせてくださって胸をなでおろした。

よし!!行かなくちゃ!!


2016年5月18日。少し霞がかってはいるが暖かい午後、今シーズン初めてのイタンキトレイルへと、スタートの地に立つ。


ビオトープもくっきりと見えるここが一番キツイ!

春のトレイルは初めて。どんな姿か・・・ワクワクしながら斜面を登る。


アチコチに野イチゴの可愛らしい花が出迎えてくれる少し上がっただけでもこの絶景

あの特等席の椅子は・・・あった!先に見えるろうそく岩。トレイルを行くとだんだん岩が大きくなっていくのが嬉しい。


 

自宅周りにあると厄介に思うタンポポ。ここで見るとなんて綺麗なんだろう。

 

まだ笹の新葉が出ていない。これからぐんぐんと緑が力強くなる。向こうに立っているのは大石さんだろうか・・・?

小走りに進んで追いついたら、大石さんではなくご近所の方らしく、ご挨拶を交わし、すれ違う。この場所でしばしイタンキを眺める。

進む道に 可憐なヒトリシズカ。右手にはパネルの団地がみえるけれど気にせず走ろう!

ギリギリまで崖の先に行き、そこに座る。左手には芸術的な岩肌。右手には大きく見えてきたローソク岩とトッカリショ。
波の音。風の音。野鳥のさえずり。何時間でもこうしていたくなる。

さあ、腰を上げてトッカリショまで。途中、展望できる場所でまたひと休みし、クジラ半島を振り返る。トッカリショが見えてきた!
今日はアンテナ山の上まで上がってみよう、


 

なんていう大パノラマ!!

やっぱりここは美しい。
心が満たされた戻り道・・・後ろからザザザッと大きな音が近づいてきてびっくりして振り返ると、マウンテンバイクの青年が。
少し行った先でバイクを止め写真を撮っているので「後姿の写真をとってもよいですか?」と声をかけると快くOKしてくださった。


「去年はこのパネル、無かったんですよ。夏に草刈したんですけど」
なんと!!一緒に草刈してくれた室工大生さんだった!!パネルはなかなかの強面。でも気にしない。トレイルは生きているから。

 

さあ。マンチェスターの丘へと続く道を帰ろう。クジラも見えてきた。

 

 

(2016.5.19 撮影・文中村 麻貴)