マンチェスターの丘は足元しか見えなかった

2016年6月19日。夏至の二日前の室蘭は美しく海霧の中。
マンチェスターの丘はマーガレット(間違いでフランスギク)と霧に包まれていた。

工場も海も見えない。波の轟音だけが耳に残る。

足元しか見えないので、草花がなんとも綺麗だ。

 

大石さんの草刈りのおかげで、毒蛾の幼虫を見ることもなく、山頂へ。
戦争のために土盛りをしたピークかもしれないと思いながら、この丘のひんやりした風の中で居心地よく。
 

帰化植物のフランスギクの中で頑張っている在来のエゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)。頑張れと思う。しかし、この百合も大昔ここにやってきたんだろうなあと。

 

野生種の菖蒲の仲間なのか、園芸種の野生なのか美しい白。

 

エゾスカシユリのオレンジがいい。霧の中で淡く見えるのか、霧に包まれたこの色がいい。
まるで高山や離島を訪ねたような、沖縄の戦跡を訪ねたような、美しさと胸の痛みを感じる丘。

晴れていたら見える海が見えなくても、工場が見えなくても、ここにずっといたいと思う。

 

ユースホステルの周り

起きるのが嫌というより、まだゴロゴロしていたい、気持ちのいい寒さと薄暗さ。部屋でくつろぐには最高の朝だった。

室蘭ユースホステルの一階。「海鳴り」の部屋。窓を開けると、海霧が部屋に流れ込んできそうだ。本当は日の出の4時前に起きたのだけど、チェックアウトまで、ゴロゴロ、ゴロゴロ、うとうと、うとうと。冷たい霧の気持ちよさに、寒くて動かない体に、なんとも落ち着いた薄明るさに。室蘭の初夏の霧は大好きだ。体も心も休まる。「何もしたくない」旅行者には最高かもしれない。何かゆかりの本でも読もうか。図書館の輪西分室がショッピングモール「ぷらっと。てついち」にあるので、雨の日、冬の日はゆったり過ごせる。室蘭で生まれた本もある。
 

部屋の前のハマナス。漢字で書くと浜梨と書くらしい。

 

牧草としてやってきたイネ科の帰化植物カモガヤ。ということはアメリカからだろうか。すっかり北海道の風景だ。ユースホステルの周りには、雄しべが紫、黄、桃と大きく分けて三色見つかって美しかった。イネ科の雄しべと雌しべだけの花を見て美しいという人もいないかな。
ちょうど開花の時間帯だったのか。